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歯の悩み - インプラントのトラブル

インプラントの失敗やトラブルは、治療初期と、インプラントの耐久年数の終わりに近づいたときに多発します。ここでは失敗を避けるための方法を時間の経過順にあげてみました。リスクを最小限に止めるため、患者さんもぜひ心得ておいてください。

初期

外科的要因が大きい時期。歯科医が適切な手術方法を守るとともに、口腔内の衛生や咬み合わせの調整など、歯科治療の基本原則を理解・実践することで、早期の失敗率を低下させることができます。この時期のトラブルには歯科医の経験や技量とともに、患者さん側の理解と協力が大きく影響します。

安定期

治療が終了して、日常生活での使用期間です。この時期は、インプラントの歯を意識することなく、天然歯とほとんど同じように使用しています。しかし、歯みがきなどの口腔衛生習慣や咬み合わせ、ゆっくりと進行していく歯周病、夜間の歯ぎしりや咬みしめなどにより、口腔内環境は刻々と変化しているのです。インプラントを長持ちさせ、できるだけ長い期間トラブルなく過ごすためには、この時期のメンテナンスが重要です。具体的には、インプラントを失敗に導く二大原因の除去につきます。
①歯みがきなどによる歯垢の除去(プラークコントロール)を徹底し、細菌感染による歯周病やインプラント周囲炎を予防すること
②歯科医が唆み合わせの変化を見逃さず、適切な状態を保つこと
インプラントは不適切な咬み合わせによる負担過重が原因でダメになることが非常に多いのです。プラークコントロールによる感染症の予防と、咬み合わせのチェックによる岐合力の調整を徹底することで、ある程度、トラブルの発生を抑えることができます。そのためには、家庭における口腔内の手入れの実践と、咬み合わせの重要性を理解している歯科医による定期検査の継続が必要条件です。

後期・疲労期

材料学的な限界と生体機能の低下が相乗的に関与する時期です。加齢による生理学的な変化はコントロールが困難ですが、材科学的な問題は安定期における咬み合わせのコントロールによって大きな差が出てきます。つまり、後期の失敗率の低下、もしくはトラブルの発生を先送りにするためには、安定期のメンテナンスが大きく作用することを忘れないでください。

手術時に起こる可能性がある事故

治療に伴う偶発事故の多くは、インプラント体を顎の骨に埋入する手術のときに発生します。主なものは次のとおりです。

下顎の神経損傷に関する事故

現在は手術の前にコンピュータトモグラフィー(CT)を使って骨の断面を撮影し、形状を把握することができるようになったため、偶発事故は以前よりはずいぶん少なくなりました。しかし、そのなかでもいちばん多いのが、下顎骨の中にある神経を損傷することで出てしまう、「しびれや知覚異常」の症状です。この神経は感覚神経で、運動をつかさどるものではありませんから、顎が動かなくなったり、顔の筋肉が引きつるようなことはありませんが、損傷してしまうと、常に麻酔注射を打ったようなしびれがあります。麻酔注射や手術の影響で一時的に麻痺が出ることもありますので、まずは、その鑑別が必要です。万が一事故が生じてしまった場合は、神経線経を再生させる薬物やビタミン剤の投与による治療を行います。ただし、神経を完全に切断してしまった場合には回復は望めません。また、知覚異常の範囲の減少や回復には個人差があることも理解しておいてくたさい下顎骨と直接は関係していない部位でも、細い神経線経が歯、顔面の皮膚、口唇などと複雑につながっているために、ごくまれに知覚の異常が生じることがあります。この場合も投薬やレーザー照射などの治療を行います。

鼻腔や上顎洞(じょうがくとう)に関する事故

鼻粘膜の損傷による大量出血や、上顎洞の損傷による蓄膿症(ちくのうしょう)があります。上顎は鼻に近いため、前歯部での不注意なドリリング(ドリルで骨に穴をあけること)で鼻腔を傷つける可能性もありますが、この事故の頻度はそれほど高くはありません。上顎洞に対する事故は、無菌的で感染を起こさないような処置をすることが大切です。上顎臼歯の虫歯や歯周病で、歯根の先端に細菌感染が及んだ場合に、炎症が起きる場合があります。症状がなくても、もともと上顎洞炎に近い状況にある患者さんは意外と多いので、そちらのほうも問題です。

血管損傷による出血事故

インプラント体を埋め込む部位(もともと歯のあった部位)の周囲には、大きな血管は存在していませんが、毛細血管は歯肉だけでなく骨の中にも入っていますから、メスによる歯肉の切開や、骨にドリルで穴をあければ出血はします。通常の出血なら、傷口を縫合して圧迫止血を施すことで自然に止まります。ただし、心筋梗塞や脳梗塞などの既往症がある人は、血液の流れをよくして血栓をできにくくする薬を飲んでいることがあります。また、肝臓疾患のある人も止血しにくい傾向にあります。このような患者さんは医科(とくに内科)の医師と相談のうえ、一時的に投薬を止める必要があります。これは歯科インプラント治療にかぎらず、抜歯のように出血を伴う処置が必要な場合にも同様です。大きな事故としては、口蓋や舌の根元にある大きな血管を損傷する場合が考えられます。ドリルの方向や深さを誤って骨を貫通してしまったり、患者さんが急に動いたり、口を閉じたりすることが原因となって発生する危険性も絶対にないとはいえません。

治療のあとでトラブルになるケース

せっかく高い治療費を払ってインプラント治療を受けたのに、「自分が期待していたものと違う結果になってしまった」という思いや、不満や不都合に伴うトラブルも少なくありません。しかし、たいていの場合、不満を持った患者さんは治療された歯科医院にではなく、大学病院やほかの歯科医院で相談するケースが多いのです。ということは、治療を受けた医師や病院への不信感がつのり、信頼関係がすでに失われているということなのでしょう。 具体的な個々のトラブルもさることながら、このような現状は大変残念なことだと思っています。以下に、多くの患者さんの訴えを整理してみました。

●機能に関するもの

・上部構造のできが悪くて、十分な咀嚼機能が得られない
・インプラント体の埋入位置が悪くて、上部構造が機能しない。上部構造の形が悪くて舌や頬に当たる。舌や頬を噛んでしまう
・上部構造の破損、不適合
・上部構造がぐらぐら動く、はずれる
インプラント体と骨との結合が失われて、インプラント体自体が動く場合はインプラントの失敗で深刻です。上部構造のみの問題なら、接着用のセメントが溶け出す、固定ネジが積むなどが原因と考えられますから対処は可能です。

●審美性に関するもの

・インプラントの埋入位置や方向が悪くて、上部構造の審美性に影響が出る
・上部構造自体のデザイン、色調、形態などの不調和
・薗肉が痩せて、インプラント体や上部構造の金属部分が露出してきた
・歯肉の形態が崩れて、笑ったときに歯と歯の間の隙間が気になる
上顎前歯部の審美性に関するトラブルの原因は、インプラント治療としての範囲ではない場合も含まれます。インプラント治療で解決することは限られています。医師は事前に十分な診査を行い、適切な治療計画を詳しく説明しておくべきですし、患者さんも自分のイメージを詳しく伝えて、インプラント治療でできることとできないことなど、冷静に話し合っておいてほしいものです。

●痛みや不快症状に関するもの

・噛むと痛い
・インプラント体を埋入した部位の歯肉が腫れる、膿が出るこれらはインプラントの失敗の前兆であることが多く、早急に担当医に診てもらう必要があります。

●担当した歯科医に対する不信感

・上記のさまざまなトラブルに対する対応の悪さ ・リコールや定期検査の不徹底
・責任回避
別の歯科医にセカンドオピニオンを求めてみるのが、得策でしょう。

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