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歯の悩み - 歯周病の怖さ

細菌のつくる毒素が引き起こすこと

歯周ポケットに住み着く歯周病菌は、きょう膜という外膜でおおわれているというのは前に述べましたが、実はこのきょう膜、それ自身が毒素そのもので、これを内毒素といいます。歯周病のときに骨を溶かすほかにも、ときに命にかかわるような、さまざまな病気の原因になります。

免疫機能を乱します

私たちのからだは、常に微生物にさらされ、白血球や免疫が無休でこれらと戦っています。ところが加齢やストレス、体調低下などで免疫がうまく働くなったり、糖尿病など白血球の働きが弱くなると、健康なときなら問題にならないような微生物に勝つことができず、発病してしまうことがあります。内毒素は免疫機能を乱し、狂わせる悪質な病原性ももっているのです。

おなかの赤ちゃんにも影響します

赤ちゃん

早産や低体重児が生まれるリスクの1つとして、細菌感染があります。腱内になんらかの細菌感染があると、子宮や赤ちゃんをとり囲む羊膜に影響がでて、子宮収縮や、子宮頚部に拡張が起こり、早産につながることがあります。胎盤でつくられたホルモンはお母さんのからだ中を流れているので、もちろん歯の周囲にも届きます。そのホルモンを栄養にして、突発的に増える細菌がプレポテラ・インターメディアです。増強したプレボテラ・インターメディアの内毒素が血管に入り、胎盤や子宮にも届いて影響を与え、早産や低体重児出産の原因となるのです。また妊娠中は、ホルモンの影響や、歯磨きがふだんよりゆき届かないことから、歯肉炎が起きやすくなります(妊娠性歯肉炎)。 元気な赤ちゃんを産むためにも、妊娠中は歯の健康に気をつけてカルシウムを積極的にとり、ブラッシングはていねいに。歯肉炎の症状が見られたりむし歯があれば、早めの治療が大切です。

お年寄りの肺炎の原因にも

ふつう唾液は寝ている間でも飲み込まれて胃に落ち、胃で殺菌されています。しかし、お年寄りは飲み込みの反応が低下するため、唾液がきちんと胃に入らず、鼻、喉、口の細菌が気管に流れることが多くなります。流れ込んだ細菌を咳などで排出することもお年寄りはうまくいきません。気道の粘膜にある細かい毛は気管支や肺に異物が入らないように運動していますが、その働きも年をとると衰えるからです。ですからお年寄りは誤嚥(ごえん)がもとで肺炎が起こりやすく、死因のトップは「肺炎」です。ということは、口の中の細菌が防御されずに肺へと向かう確率も高くなります。お年寄りの肺炎を防ぐためにも、口の中の病原菌を少なくすることが大事になります。

動脈硬化や心臓病にもかかわる

心臓病

口の中の細菌は、心臓にまで至って命にかかわる病気を引き起こすことがあります。白血球や免疫が血液中に入り込んだ細菌と戦ってくれるのは健康なとき。健康を害したときには戦いきれずに血液中で細菌が増え、敗血症となり、命にかかわることがあります。細菌は口の中だけでなく、扁桃腺、呼吸器、腸管などに住み着いています。細菌が心臓の弁膜にへばりついて起こす病気が細菌性心内膜炎です。これは、口の中を住みかにしているサングイス(血液の菌の意味)という連鎖球菌が原因と考えられています。サンダイスをはじめ、歯周ポケットにすむその他の菌は、白血球そのものを壊す外毒素を出すので、白血球にやっつけられることもなく生存し、弁膜に着いて心腹炎を起こすことがあります。また、動脈硬化のある場所で歯周病菌が発見されました。原因菌にはいろいろありますが、その1つが運動機能をもち、らせん状をしたスピロヘータという歯周病菌です。これは回転しながら歯周ポケットから血管へと移動します。実際に歯周病をもっている人ほど動脈硬化による心臓病が多いことがわかっています。

歯周病治療で糖尿病が改善するケースも

血糖値(血液中のブドウ糖の量)を調節するホルモン(インスリン)の分泌が少なくなるのが糖尿病です。からだがだるくなるだけでなく、神経に異常を起こして糖尿病性網膜症や腎臓病などにむすびつきます。糖尿病になるとからだの免疫機能が低下するので歯周病も悪化し、この状態を糖尿病性歯周病といいます。糖尿病の人が歯周病を治療すると、血糖値が下がることがあります。

歯周病が原因の皮膚炎

手のひらや足の裏にカサカサと皮がむけたようになって、膿のある発疹がでる掌蹠膿疱症(せきのうほうしょう)。これにも歯周病菌がかかわることがあります。何と、血液を通って皮膚に住み着いた歯周病菌が、ストレスに順応するためにつくるたんばく質の仕業だというのです。

内毒素は骨も溶かす

歯周病菌が出す内毒素が歯の骨を溶かす病気が歯周病ですが、内毒素は歯の骨だけにとどまらず、からだの骨を溶かす要因にもなっていることがわかってきました。たとえば骨租しょう症。閉経後の女性やお年寄りに多い、骨密度が低下する病気ですが、これにも歯周病がかかわっています。お年寄りが口の中を徹底してきれいにしたところ、骨が丈夫になり、歩行が改善したという報告も多く出ています。

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